winny 作者の逮捕に思う

少し前の話になってしまうが、winny 作者の逮捕について思ったことを書きたい。

一般的に、P2P というより、ファイル交換が犯罪すれすれの行為だというのは
認めよう。だが、それに利用できるソフトを開発することと
犯罪行為そのものは独立事象ではないだろうか。

仮に、ファイル交換ソフトの作成が違法だというのであれば、
CD-R を作成しているベンダー、販売業者も逮捕されるべきでないのか?
銃を製造している全業者を逮捕すべきでないのか?
犯罪に使える道具を生産しているというだけで、逮捕されるのは
あまりに理不尽だという気がしてならない。

また、winny 作者が提起している問題も看過できない。
「現在の著作権のあり方に疑問がある」
新しいテクノロジーが、既存のビジネスモデルを崩壊させるのは
歴史上、これまで何度も起こってきたことだ。

とすれば、勃興しつつあるテクノロジーをつぶすのではなく、
それを活用したビジネスモデルを探求することがなにより
賢明と思える。

この種の「ずれた」反動は、既得権益者の抵抗というだけではない気がしている。
新しいテクノロジーに対する、半ば感情的なアレルギー反応が常に
裏側にある気がしてならない。

携帯電話という新しいツールが出てきた時、その波に乗り遅れた人々は、
無意味なまでの規則を作って制限しようとした。
電車の中での通話制限は理解できるとして、メールやゲームまで
制限するのはあまりにナンセンスである。

心臓ペースメーカーへの悪影響など、科学的に証明されたという話はとんと
聞いたことがない。なのに、その手の盲信がまかりとったのは、
携帯電話ブームに乗り遅れた人々の、無意識の抵抗感にうまく
はまったからだと思う。

そのせいか、1/3 の国民が携帯電話を持つようになった今、
電車内でのメール禁止の無意味なマナーは急速に崩壊しつつある。

立ち戻って、P2P そしてファイル交換に関しては、
新しい技術に対応したビジネスモデルを未だ確立できない既得権益者と
大勢の人々の、無知ゆえのアレルギー反応が新しい技術、新しい利便性を
殺そうとしている。

それはそれで非常に残念なことだが、若干視点を変えてみれば、
P2P に対応した著作権モデルを確立できれば、それは大きな
ビジネスチャンスとなるのかもしれない。

iPod の成功も鑑みるに、その種の成功者がそろそろ現れてきそうな
予感がある。